2019-03-04

生命のまなざし―土屋仁応 新作彫刻展「祝祭」に行ってきたよー。の感想。


これまでもこのブログで何度か取り上げさせてもらった、彫刻家の土屋仁応先生。去年アートに興味を持ち始めてからずーっとこの目で作品を見てみたいと思っていた作家さんですが、先日、ついについに! ついに!

東京銀座のメグミオギタギャラリーで開催中の新作彫刻展、「祝祭」に行って参りました~!

インターネットを通じて眺める土屋先生の作品も、もちろん惹きつけられるものがあったのですが、やはり直接見るのは違う! と言いつつ、撮影させてもらった写真を載せつつの感想になりますが、「ぜひぜひ皆さんにも直接見に行ってもらいたい!」という思いで書いていきます!




彫刻家 土屋仁応

土屋は1977年神奈川に生まれ、東京藝術大学で彫刻を学び、2007年同大学大学院にて保存修復彫刻の博士課程を修了しました。
土屋の彫刻は伝統的な仏像彫刻の技法と、素材が木材であることに気付かないほどの独特な彩色を用い、さらに木彫の表面を極限までなめらかに仕上げて制作されています。また水晶やガラスを玉眼として使用することで見る角度によって視線が変化するような焦点のない瞳を表現し、神秘的かつ生命感のある動物作品で知られる存在となりました。

http://www.megumiogita.com/cn5/cn8/pg637.html

 

新作彫刻展「祝祭」

恐竜や、熊、キリン、少年など、土屋先生の子供時代に関連のあるモチーフが作品として展示される今回の個展。彫刻の中でも、動物や空想の生き物を題材にした作品が大好きな自分としては、もう感嘆のため息が出まくりでした。

 

「熊/Bear」

インスタでの個展の告知にも使われていたこちらの作品。熊というタイトルではあるものの、子熊ですね。半端なく可愛い。

土屋作品の特徴のひとつでもあるその木彫りとは思えない「なめらかさ」。直接それを目の当たりにしてみると、そのなめらかさをより感じさせるもう一つの特徴に気がつきました。

それはなめらかさの反対とも言える「粗さ」。近くに寄ってよく観察してみると、手足の指先や目の周り、口元などは他の部分と比べ、敢えて粗く削られているのがわかります。

自然界にはこんなにすべすべの体をした子熊っていないと思うのですが、空想感がありながらもこの作品が現実に寄り添っているのは、そういった細かい部分でなされる生き物的な粗さの表現故なのかなと思いました。

そしてなんと言ってもこの眼差し。玉眼は、個展を同時開催中の田中福男先生の作品。どの角度から見ても見つめられているような錯覚に陥り、少し潤んだようなその瞳を見つめていると、本当に生きているんじゃないかと思ってきてしまうほど。

それは玉眼の精巧さと、なめらかなフォルムや細部の彫り方など、前述の土屋先生の表現と相まってのことだなと思います。

「キリン/Giraffe」

続いて今回一番大きな作品であるキリン。柔らかな表情を見せていた「熊」と比べると、端正な表情で少しクール。

自分としてはこの胴体や脚の付け根周りの筋肉の表現がたまらないなと思いました。まるで本当に皮膚があって筋肉があって、その下に骨があるかのように形作られています。

そして他の作品にも言える点ですが、表面の少し青みがかった部分や、赤みがかった部分がささやかに作品の「生命力」を増しているように思えます。

「森/Forest」

個展のメインビジュアルにもなっているこの作品。上記2作品とは違った、胴回りの模様の表現や、力強く生えるツノがよりその幻想感を際立たせています。

そしてこの眼光。自分は静かな森の中でふとこの鹿と出会い見つめ合う。その瞳に吸い込まれるようなシーンを思い浮かべました。

いや、ほんとに美しすぎる。

「人魚/Mermaid」

唯一の人型の作品になります。そのフォルムや眼差しはもちろんですが、特に目を引いたのが下半身の鱗の表現。

精巧すぎる……。と思わず唸ってしまうほど。ここでもわずかに赤みがかった色彩表現が、魚の色素やその下に流れる血の色を連想させます。

「祝祭/Festival」

他の作品から少し距離を置いて、離れたところに展示されている本作品。ただこの異彩を放っているこの作品こそが、今回の個展のタイトルにもなっている「祝祭」。恐竜モチーフかと思われますが、木の質感を残した背中の模様はどこか日本的というか、仏教的な印象を受けます。そのアンマッチ感が一つの作品として成立していることがまたたまらない。

恐怖を覚えさせるような口元ですが、その玉眼にはただひとり瞳が施されていて、どこか柔らかな優しい印象も受ける不思議な作品です。

顔や背面を除いた、腕や脚周りは土屋作品特有のなめらかさも見られます。

背面から首筋まで施される、見る者に強烈にインパクトを与えるこの模様。もしかしたらこの模様そのものが「祝祭」というタイトルに関連しているのかもしれません。わかる方がいれば独自の解釈でもいいので教えて頂きたいところ。

そして自分では気がつかなかったのですが、一緒に行った彼女様から「所々継ぎ目がある」との発見が。たしかに中が空洞になっているので、中を掘り進めながら作るのは難しそうですね。自分一人で行ったのでは気がつかなかった部分なので、アートを鑑賞してそれについて他の人と話す、というのも大切なことだなと実感しました。

 

「例えば花が咲いて散るまでのひととき、その場がぱっと華やぐような、形のない『祝祭』」

http://www.megumiogita.com/cn5/cn8/pg637.html

もう一度この意味を反芻しながら、この作品に向き合ってみたいです。




ぜひその目で見て欲しい

今回お伝えしたいことはただ一つ、「足を運んで直接見てほしい」。

写真でもこの美しさはわかるかもしれない。でも美しさだけでなく、作品の持つ温もりや存在感、そして生命力は実際に見てみないとわからないと思います。

個展は3月23日までです!

では!

 

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