2018-07-21

20歳とニューヨーク⑤ 図々しいインド人の話


気が付けば一か月ぶり、20歳とニューヨーク④の続き。

 

2月22日

5日目。MOMAに行った。いろいろ本物を見れてよかった。
ムンクは叫びが有名だけど、他のもいいなあと思った。

吐いた。

2月23日

6日目。お腹痛、吐き気で一日休み。
朝、カフェてドワゴさんと握手した。
夜はホールフーズでご飯食べた。ピーナッツチョコバーみたいなの買って食べた。

インド人が結構図々しい。
明日でホステル最後。

 

明らかに弱っている……。もともと小さいころから精神的なストレスがおなかに来る人間ではあるのだけど、このときはいきなり具合が悪くなったんだよね。食べ物で心当たりがあるものと言えば、屋台でぼったくられたホットドッグくらい。まあ真相はわからずじまい。

 

図々しいインド人について書く。

ここで登場するのは、自分が今までの人生の中で関わったおそらく唯一のインド人であり、今のところ最初で最後のインド人である。彼は確か、この5日目から自分が泊っていたホステルの同じ部屋の、同じ2段ベッドの上の段にやってきた。

それまでも何人か上の段の人は入れかわったけど、特にコミュニケーションをとることもなく、やってきてはまた去っていった。

インドからやってきた彼は違った。彼は上から「チャージャー」と呼びかけてきた。それまでベッドの上の段から呼びかけられることがなかったので、自分は戸惑った。「チャージャー」と繰り返し言う彼は、スマホの充電器を上からぶらぶらと下に落としてきた。コンセントの差し込みがベッドの下側にしかなかったので、充電器を刺してくれということらしかった。その態度に少しむっとしながらもコンセントに刺してやった。彼が宿泊していた二日間何回もこれをやらされた。

彼は、シャワーに行くときに内履きで使っていたスリッパを貸してくれとも言ってきた。正直、他人とスリッパを共用したくなかったし、部屋中裸足で歩きまわってるくせになんでシャワーを浴びるのにスリッパが必要なのかもわからなかったの渋ったけれど、あまりに懇願してくるので最終的にはスリッパは明け渡された。彼のめちゃくちゃでかいナンみたいな足で安物のスリッパははち切れそうだった。

具合が悪くて寝込んだ日、インド人もなぜか一日外出せずにホステルの部屋にいた。彼はどこかで買ってきた硬式の野球ボールを持って、ベッドと窓際を行ったり来たりしていた。キャッチボールをしようと言われたので、部屋の中でお互いに素手でキャッチボールをした。キャッチボールをしながら、彼は昨日どこに行ってきたのかということを楽しそうに話した。キャッチボールは二人ともすぐに飽きた。

少し話をすると、彼は20歳で同い年だということがわかった。大学でエンジニアの勉強をしていると言っていた。現代のインドだなと思った。自分は歴史を勉強していると教えた。ただ、自分の英語力ではイスラムについて勉強していることをうまく伝えられなかったのと、インド人である彼にイスラムについて話すことは何かややこしいことになりそうな気もしたので、伝える努力もしなかった。会話もそこで終わってしまった。

たしか、次の日起きると彼はもう出発してしまっていたと思う。

結局、なぜ彼が一日部屋にいてくれたのかもわからずじまいだった。





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